抄録
胃癌穿孔は比較的まれな病態で, 胃癌全体の1~3%との報告が多い。胃癌穿孔は緊急手術の適応であり, かつ全身状態や進行度, 根治性の有無などが症例毎に異なるため, 個々の症例に応じた治療法を考慮する必要がある。今回, 最近経験した1例を報告するとともに最近5年間に経験した5例について検討したので報告する。症例は63歳, 男性で上部消化管内視鏡で幽門部に2型の病変を認めたが, 検査後に腹部全体に筋性防御を伴う圧痛が出現し, 腹部CT検査で腹腔内遊離ガス像を認めたため, 胃癌穿孔による腹膜炎の診断で緊急開腹手術となった。開腹すると胃前庭部に胆嚢・膵臓へ直接浸潤する穿孔性2型腫瘍を認めた。根治手術は不能と考え, 穿孔部大網充填, 胃離断および胃空腸吻合を施行した。当科における2002年から2006年までの胃癌穿孔症例は5例であり, 平均年齢は70.6歳, 病期はII期が1例, III期が2例, IV期が2例であり, 胃全摘が2例, 幽門側胃切除, 胃空腸吻合, 大網充填がそれぞれ1例ずつであった。胃空置・胃空腸吻合は手技が簡便であり, かつ穿孔部への食物流入が防げる術式であるため, 根治術不能の胃癌穿孔症例には試みてもよい術式であると思われる。