抄録
腸閉塞を呈する左側大腸癌は, 経口的減圧のみでは減圧が困難なことが多く, 緊急手術を余儀なくされ, 人工肛門造設後, 2期的手術が施行されることが多い。今回われわれは, 下行結腸癌3例と直腸癌1例の閉塞性大腸癌4症例に対し, 経肛門的イレウス管を挿入し, 洗浄と減圧を行い, かつ術前精査を行った後, 待機的に腹腔鏡下大腸切除術を施行した。いずれの症例も減圧は十分で, 腹腔内の視野に問題はなく, D2またはD3郭清と1期的切除および吻合が可能であった。腸閉塞を呈する左側大腸癌に対しても経肛門的イレウス管で減圧することで, 待期的かつ1期的に腹腔鏡下に根治術を行うことが可能であり, 今後の治療方針として有効であると考えられる。