悪性肝外胆道狭窄113例を対象に81例にメタリックステント (MS群), 32例にチューブステント (9例は1本 : STS群, 23例は2本 : DTS群) を留置した。疾患別の50%開存期間は膵癌235日, 胆管癌116日, 転移性腫瘍106日と膵癌で長期の開存期間が得られた。ステント別50%開存期間はMS群, STS群, DTS群でそれぞれ172日, 91日, 235日で, DTS群はMS群より開存期間の延長を認めたが (Kaplan-Meier法, Logrank検定, p<0.05), 膵癌に限定するとDTS群とMS群の50%開存期間 (MS群234日, DTS群235日) に有意差を認めなかった。またDTS群で膵癌に対する内瘻化後の化学療法群 (n=15) の平均生存期間は375日で非化学療法群 (n=7) の103日に比べ有意に長かった (p<0.05)。ステント閉塞はMS群27例 (38%), STS群6例 (67%), DTS群3例 (14%) でDTS群はSTS群より有意に閉塞する頻度が少なかった (χ
2独立性検定, p<0.05) がMS群との有意差はなかった。ステント閉塞に寄与する因子はSTS, 性別が有意な因子であった (Cox比例ハザード分析, p<0.05)。チューブステントを2本挿入することによりドレナージ効果が高まりメタリックステントと同等もしくはそれ以上の開存期間が得られ, とくに膵癌において化学療法の組み合わせにより長期の生存期間が期待できると考えられた。
抄録全体を表示