2007 年 27 巻 7 号 p. 969-972
患者は74歳, 男性。当院受診3日前から嘔気を自覚し近医受診, 腸閉塞の診断で当科受診となった。術前検査の注腸造影検査ではS状結腸の完全閉塞が認められ, 経肛門的イレウス管を挿入し, 腸管洗浄するも減圧効果とぼしく, 腹部膨満が著明となり手術を施行した。癌腫は腹膜翻転部から25cm口側に存在し, 切離ラインを決定するため腹膜翻転部を触診で確認したところ直腸Ra部に腫瘤を触知した。術中下部消化管内視鏡検査を行った結果, 進行直腸癌を発見した。S状結腸切除術から低位前方切除術に術式変更し, 以後は良好に経過している。緊急で経肛門イレウス管を挿入する際, 肛側腸管は便が充満し併存病変を見逃す可能性が狭窄部口側と同様にあり注意が必要である。