日本腹部救急医学会雑誌
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27 巻 , 7 号
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特集 : 下部消化管出血に対する診断と非手術的治療
  • 井上 義博, 菊池 哲, 小野寺 誠, 藤野 靖久, 小鹿 雅博, 佐藤 信博, 遠藤 重厚
    2007 年 27 巻 7 号 p. 923-928
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2008/08/29
    ジャーナル フリー
    下部消化管出血の頻度は上部消化管出血の約10分の1程度で, 大腸出血が大半を占めているが, 最近小腸内視鏡の普及によって, 小腸出血を内視鏡的に診断される機会が増加した。原疾患は上部に比較し多岐にわたり, われわれの施設では出血性大腸炎, 虚血性大腸炎, 痔出血, 大腸憩室出血, 急性出血性直腸潰瘍が多くを占めていた。内視鏡治療は急性出血性直腸潰瘍に対してはヒータープローブ法が有効で, ポリープにはポリペクトミーが, 憩室出血などその他の疾患にはクリップが有効であった。
  • 杉山 宏
    2007 年 27 巻 7 号 p. 929-935
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2008/08/29
    ジャーナル フリー
    止血治療を要する下部消化管出血には主として大腸憩室出血, 急性出血性直腸潰瘍, NSAIDs起因性腸病変, 大腸動静脈奇形があげられる。急性出血性直腸潰瘍はグリセリン浣腸の前処置で行った内視鏡検査で全例, 診断できた。洗腸を行えば, 回腸末端までのNSAIDs起因性腸病変や大腸動静脈奇形は内視鏡診断できるが, 憩室出血は洗腸のみでは診断困難である。憩室出血は透明フードを憩室周囲に軽く押し当てゆっくり吸引し, 憩室を反転, 観察することで高率に診断できた。よって, 病歴, 薬剤歴からこれらの疾患を推測して的確な前処置法を選択し, 正確な出血部位の内視鏡診断を早期に行うべきである。また, 急性出血性直腸潰瘍, 憩室出血の止血術にもフードの併用が有用で, その止血術にはクリップ法, HSE局注法が有効である。循環動態の不良例や内視鏡的止血術の抵抗例にはIVR治療が有効で, 手術を選択する前に考慮すべき治療法である。
  • 鈴木 修司, 原田 信比古, 林 恒男, 鈴木 衛
    2007 年 27 巻 7 号 p. 937-940
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2008/08/29
    ジャーナル フリー
    下部消化管出血に対する非観血的治療は上部消化管出血に比較して少なく, その方法は確立されていない。下部消化管出血に対する非観血的治療について検討した。自験例の検討では下部消化管出血に対して非観血的治療を施行した37例のうち医原性出血を除いた11例を検討対象とし, 治療法, 成績について検討した。出血部位は回腸1例, 上行結腸3例, 横行結腸1例, 下行結腸2例, 直腸4例であった。疾患は大腸憩室5例, 直腸潰瘍2例, 潰瘍性大腸炎1例, angiodysplasia1例, 吻合部出血1例, 癌転移1例であった。血管造影での止血は2例で, コイルを使用した。回腸の1例は止血されたが, 大腸の1例は血管造影後再出血あり, 内視鏡的にクリッピングした。内視鏡的止血はクリッピング7例, APC1例, 高周波凝固1例であった。下部消化管出血に対する非観血的治療において小腸出血のfirst choiceはIVR治療で, 大腸出血のfirst choiceは内視鏡であると考えられた。
  • 今枝 博之, 緒方 晴彦, 岩男 泰, 久松 理一, 岡本 晋, 細江 直樹, 長沼 誠, 相浦 浩一, 中溝 裕雅, 杉野 吉則, 熊井 ...
    2007 年 27 巻 7 号 p. 941-947
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2008/08/29
    ジャーナル フリー
    カプセル内視鏡は2000年にGIVEN Imaging社が世界に先駆けて開発し, 欧米を中心に小腸疾患に対し広く用いられ, 従来の小腸透視やプッシュ式小腸鏡に比べて診断能に優れている。われわれはオリンパス・メデイカル・システム社との共同研究により国産の新型カプセル内視鏡を開発した。その特徴は画像解像度および観察深度の向上, 光量の自動調節機能ならびにカプセル内視鏡の画像を撮影と同時に観察できる携帯型のリアルタイム・ビューアーである。ダブルバルーン内視鏡 (DBE), 続いてシングルバルーン内視鏡 (SBE) も登場し, 診断のみならず治療への有用性も多く報告され, カプセル内視鏡はDBE/SBEと相まって小腸出血の診断, 治療に大きく貢献するものと思われる。しかし, これらの内視鏡を組み合わせた小腸出血に対する診断, 治療のアルゴリズムはまだ確立されていない。今後, 小腸透視, 出血シンチ, 血管造影などといった従来のモダリティーを組み合わせた小腸出血に対するアプローチの確立が望まれる。
  • 阿部 孝, 水谷 昌代, 河相 直樹, 川野 淳, 佐藤 信紘
    2007 年 27 巻 7 号 p. 949-956
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2008/08/29
    ジャーナル フリー
    消化管出血は, もっとも多く診療する機会のある疾患の1つである。しかし小腸出血の内視鏡診断や治療が困難であったのは, 従来の内視鏡機器では, 小腸まで到達できなかったためである。最近開発されたカプセル内視鏡は, 小腸の直接観察が可能になった。このカプセル内視鏡では生検や内視鏡治療ができないが, ダブルバルーン小腸内視鏡 (double balloon enteroscopy : DBE) は, 2.8mmの鉗子口を持ち, 各種の処置用器具を使用することが可能である。今回当院における小腸出血を疑う症例に対して, DBEを施行し若干の知見を得たので報告する。対象は, 2004年7月より2007年7月までに大阪警察病院にてDBEを施行した400件 ; 経口法161件, 経肛門法239件であった。そのうち上下内視鏡検査にて異常がなく小腸出血と考えられた100症例 (男性70例 ; 女性30例 ; 平均年齢63.1歳, 19~89歳) について検討した。対象症例100例のDBEのアプローチは, 経口と経肛門法65例, 経口法20例, 経肛門法15例であった。DBE施行にて100例中70例で診断が得られ, 出血源不明は30例であった。疾患の内訳は, 血管性病変30例 (Angiodysplasia28例, 血管腫1例, 小腸静脈瘤1例), 潰瘍性病変28例 (びらん9例 : NSAIDsによる2例を含む, クローン病8例, Dieulafoy潰瘍2例, サイトメガロウイルス潰瘍1例, 慢性出血性小腸潰瘍1例, 回腸憩室炎2例, Meckle憩室症1例, 虚血性小腸2例, その他の潰瘍2例), 腫瘍性病変12例 (悪性リンパ腫2例, 十二指腸癌1例, 空腸癌2例, 回腸癌1例, 転移性小腸癌2例, GIST1例, 分類不能小腸悪性腫瘍1例, 脂肪腫1例, 腺腫1例) であった。内視鏡治療は, Angiodysplasia16例, Dieulafoy潰瘍2例, びらん2例, 憩室炎1例, 静脈瘤1例, 慢性出血性小腸潰瘍1例にて内視鏡的に止血処置を施行した。静脈瘤1例でPolidocanol (AethoxysklerolR) を用いたが, その他の22例はすべて止血クリップおよびHSEにて止血し得た。術中大きな合併症を経験しなかった。ダブルバルーン小腸内視鏡は, 原因不明と考えられていた小腸出血の診断や内視鏡治療に有効であった。
  • 川中 博文, 小西 晃造, 吉田 大輔, 姉川 剛, 橋本 直隆, 上原 英雄, 山口 将平, 金城 直, 橋爪 誠, 前原 喜彦
    2007 年 27 巻 7 号 p. 957-961
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2008/08/29
    ジャーナル フリー
    小腸静脈瘤出血は, 通常の内視鏡検査による診断と治療が困難であり, 診断および治療には難渋することが多い。そこで, 当科で経験した小腸静脈瘤出血13例について分析し, 診断と治療法について検討した。出血部位は, 胃全摘術後挙上空腸脚3例, Roux-en Y脚1例, 胃切除術後輸出脚1例, 肝左葉切除術後胆管空腸吻合部1例, 小腸7例であった。診断に関しては, 胃全摘術後の挙上空腸脚静脈瘤3例と胃切除術後輸出脚静脈瘤1例を除く9例は, 通常の内視鏡では診断は不可能であり, 7例でMD-CTにて診断が可能であり, 残りの2例は血管造影および出血シンチにて診断がなされた。4例では, 内視鏡的硬化療法にて止血可能であった。2例には, PTOを施行し一時止血を得たが再出血を認めた。B-RTOを施行した小腸静脈瘤6例および小腸切除術を施行した1例では, 再出血を認めていない。小腸静脈瘤出血の診断には, MD-CTが重要であり, B-RTOなどにより静脈瘤の本体である門脈大循環短絡路の閉鎖が必要と考えられた。
症例報告
  • 米沢 圭, 下松谷 匠
    2007 年 27 巻 7 号 p. 963-967
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2008/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は89歳男性。2006年1月, 突然の心窩部痛が生じるも放置。2日後激痛となったため, 当院に救急搬送される。腹部所見は板状硬で, 腹部CTにてfree air, 上部消化管内視鏡にて胃角部小彎に約2cm径の出血を伴う潰瘍を認めたため, 胃潰瘍穿孔の診断にて同日腹腔鏡下にドレナージ術を施行した。全身状態も改善した17日後の内視鏡検査にて, 潰瘍周囲の生検より胃癌の診断に至ったため, 術後35日目に開腹下に幽門側胃切除術・BillrothI法再建術を施行した。病理標本ではII c + III型早期胃癌 (高分化型管状腺癌) を認め, 深達度はsm2であった。総合所見はT1, N0, H0, P0, CYX, M0, StageIA, 根治度Bであった。術後経過は良好で胃切除術後12日目に退院した。術後11ヵ月経過したが再発を認めていない。早期胃癌の穿孔は比較的まれであり, 当症例のごとく80歳以上の高齢者は極めてまれである。
  • 渡辺 啓太郎, 池田 英二, 辻 尚志, 村岡 孝幸, 佃 和憲, 高木 章司, 平井 隆二
    2007 年 27 巻 7 号 p. 969-972
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2008/08/29
    ジャーナル フリー
    患者は74歳, 男性。当院受診3日前から嘔気を自覚し近医受診, 腸閉塞の診断で当科受診となった。術前検査の注腸造影検査ではS状結腸の完全閉塞が認められ, 経肛門的イレウス管を挿入し, 腸管洗浄するも減圧効果とぼしく, 腹部膨満が著明となり手術を施行した。癌腫は腹膜翻転部から25cm口側に存在し, 切離ラインを決定するため腹膜翻転部を触診で確認したところ直腸Ra部に腫瘤を触知した。術中下部消化管内視鏡検査を行った結果, 進行直腸癌を発見した。S状結腸切除術から低位前方切除術に術式変更し, 以後は良好に経過している。緊急で経肛門イレウス管を挿入する際, 肛側腸管は便が充満し併存病変を見逃す可能性が狭窄部口側と同様にあり注意が必要である。
  • 加納 幹浩, 栗栖 佳宏, 赤木 真治, 渡谷 祐介, 藤解 邦生
    2007 年 27 巻 7 号 p. 973-976
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2008/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は58歳, 男性。既往歴は特になし。増悪する腹痛と腹満にて救急外来を受診, イレウスと診断した。CT検査にて回腸病変と肝腫瘤陰影を指摘されたため, 炎症性腸疾患と肝腫瘍を疑い, 大腸内視鏡と経皮的肝生検検査を施行したが確定診断には到らなかった。1ヵ月後に再び同症状が出現したため, 腹腔鏡を診断に用いた。術中所見より肝臓の腫瘍は硬化性血管腫と診断し, 小腸病変は切除標本の病理検査によりクローン病と診断した。腹腔鏡手術は周術期のQOLの向上, 整容性, 特に良性の慢性腸疾患において, 有効な手段とされている。反面急性期の診断や治療には, 時間的な制約があり, 不向きであるとされてきた。今回急性小腸閉塞の患者に対し, 小切開から広い視野で病巣を観察することができ, 早期の診断だけでなく治療にも有効であると考えた。
  • 佃 和憲, 中原 早紀, 渡辺 啓太郎, 高木 章司, 池田 英二, 平井 隆二, 辻 尚志
    2007 年 27 巻 7 号 p. 977-979
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2008/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は60歳, 男性。嘔吐を主訴として受診。上部消化管造影で十二指腸下降脚から腸管外への造影剤の流出を認め, 腹部CTにて後腹膜気腫と膿瘍形成を認めた。十二指腸潰瘍の穿孔による後腹膜膿瘍と診断したが, 自覚症状が軽微であったため, プロトンポンプ阻害剤と抗生剤による保存的加療を行った。6日目より経口摂取開始し, 17日目に軽快し退院となった。十二指腸潰瘍の穿孔による後腹膜気腫や膿瘍は比較的少なく, 重症化することがある注意すべき疾患ではあるが, 保存的加療が適応となる症例もある。
  • 唐澤 幸彦, 児島 完治, 前場 隆志
    2007 年 27 巻 7 号 p. 981-983
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2008/08/29
    ジャーナル フリー
    胃拡張に胃壁気腫を伴うことはまれであるが慢性血液透析患者に発症した1例を経験したので報告する。症例は68歳, 男性。慢性腎不全のため28年間血液透析を行っていた。心窩部痛, 腹部膨満感を主訴に入院。腹部は著明に膨隆しており, 軽度の圧痛を認めた。腹部単純X-P, CTでは著明な胃拡張と胃壁内にガス像を認めた。胃内容を吸引して症状は軽快したため保存的加療を行うこととした。翌日の血液検査で血清アミラーゼ値が6,780IU/l と著明に上昇していることが判明したため膵炎と診断しメシル酸ガベキサートの投与を行った。アミラーゼ値は次第に低下したが正常範囲内には至らなかった。第4病日に施行したCTでは胃壁内のガス像は消失しており, 同日行った胃内視鏡検査では胃壁全体に浮腫, びらんを認めた。第8病日より経口摂取を開始したが症状の悪化はなく, 第20病日に退院した。
  • 剣持 邦彦, 宗 宏伸, 佐藤 英博, 濱田 茂, 今村 鉄男, 下河邉 智久, 佐々木 英, 中村 克己
    2007 年 27 巻 7 号 p. 985-989
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2008/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は62歳の女性で, 繰り返す腹痛を主訴に近医を受診し, イレウスと診断され当院に紹介となった。腹部X線検査で小腸ガス像を認め, 腹部CT検査を施行し小腸の腸重積と診断した。イレウスチューブ挿入後に造影検査を施行したところイレウスは解除されており, 小腸内に腫瘤を認めた。小腸腫瘍と診断し待機的に手術を行った。開腹時に腸重積は認めず, 回盲部より140cm口側に腫瘤を認め小腸部分切除術を施行した。腫瘤は頂部の粘膜が欠損した径2.8cmの亜有茎性のポリープで, 病理学的には間葉系細胞の増生に好酸球を主体とする炎症細胞浸潤を伴っておりInflammatory fibroid polyp (IFP) と診断された。術後経過は順調で術後9日目に退院した。IFPは消化管粘膜下に発生する良性腫瘤性病変で小腸発生はまれであり, 約80%が本症例と同様に腸重積を発症し, ほとんどが手術後に確定診断されている。
  • 井戸 弘毅, 利光 鏡太郎, 木村 圭一, 城間 伸雄, 奥田 澄夫, 前田 裕子, 田口 朋洋
    2007 年 27 巻 7 号 p. 991-995
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2008/08/29
    ジャーナル フリー
    2003年8月から2006年12月までの期間に当院で経験した閉鎖孔ヘルニア6例の診断と手術法について報告した。全例女性で年齢は77歳から97歳, 平均84.3歳であった。全例腹痛, 嘔吐などのイレウス症状で来院し, Howship-Romberg signは2例, 33%のみで陽性であった。全例恥骨結合足側まで撮影したCTで術前診断可能であった。手術は全身麻酔下に患側下肢を軽度屈曲, 外転, 外旋した仰臥位で行った。嵌頓腸管の整復は腹腔側からの軽いけん引と大腿内側から経皮的に閉鎖管に圧迫を加えることにより行い, 腸管損傷することなく全例整復できた。ヘルニア門は正中創から腹膜外にアプローチし, メッシュプラグを挿入, 固定した。全例術後経過良好で合併症なく退院した。現時点で再発症例は認めていない。
  • 瀬上 航平, 櫻井 丈, 野田 顕義, 片山 真史, 諏訪 敏之, 榎本 武治, 濱谷 昌弘, 四万村 司, 須田 直史, 花井 彰, 中野 ...
    2007 年 27 巻 7 号 p. 997-1000
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2008/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は40歳の男性。6ヵ月前に右上下肢運動感覚障害, 意識障害, 好酸球増加に対し精査したところChurg-Strauss症候群と診断された。ステロイド療法を行い, 運動感覚障害および意識障害の改善を認め, 好酸球も0~2%と改善傾向であったが, 突然の上腹部痛が出現した。上腹部を中心に圧痛, 反跳痛と筋性防御を認めた。腹部CTで腹腔内遊離ガスを認め, 十二指腸から空腸の壁肥厚を認めたため消化管穿孔と診断し, 同日, 緊急手術を行った。術中所見として腹腔内に中等量の混濁した腹水を認め, トライツ靭帯から約20cmの空腸に約3mmの穿孔を認めた。潰瘍や腫瘍の所見は認めなかったので穿孔部を自動縫合器で切除縫合した。術後は経過良好で第25病日に退院した。
  • 宮本 慶一, 木村 昭利, 中井 款, 佐々木 睦男
    2007 年 27 巻 7 号 p. 1001-1004
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2008/08/29
    ジャーナル フリー
    症例1は41歳男性。嘔吐後の胸部痛を主訴に近医受診。画像診断で特発性食道破裂を疑われ当科紹介。発症約4時間後に手術施行。食道壁は浮腫状で脆弱であった。症例2は49歳男性。嘔吐後の上腹部痛を主訴に近医受診。胸部X線写真で縦隔気腫を認めたため特発性食道破裂を疑われ当科紹介。発症約5時間後に手術施行。高度の縦隔炎を伴っていた。術式は2症例とも, 開胸創に連続する左上腹部斜切開による, 破裂部縫合閉鎖に大網被覆術を加え, 胸腔内洗浄, ドレナージ, 胃瘻造設術とした。術後に縫合不全や縫合部狭窄は認めず, 経過良好で退院となった。特発性食道破裂において早期診断, 早期治療は重要であり, また術式選択では破裂部の縫合閉鎖に大網被覆を補強として行うことは有用で, 開胸創から連続斜切開で開腹し食道裂孔を介して大網を胸腔内に挙上することは簡便・確実な方法として推奨できると考えられた。
  • 森内 博紀, 菅 和男, 南 恵樹, 草野 義輝, 千葉 憲哉, 古川 正人
    2007 年 27 巻 7 号 p. 1005-1008
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2008/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は71歳, 男性。2006年8月上旬深夜より突然の下腹部痛を生じ当院を受診。身体所見上, 開腹歴はなく下腹部正中に圧痛, 腹膜刺激症状を認めた。血液生化学所見ではWBCおよびCRPの上昇を認め, 腹部CTではfree airは明らかでないが腹水貯留を伴うイレウス像を呈していた。以上より絞扼性イレウスの可能性も否定できず緊急手術を行った。手術所見は腹腔内に混濁した腹水を認め回腸末端から約30cm口側回腸に魚骨により穿孔したMeckel憩室を認めたため, 憩室切除術を施行した。本人に発症前の食事について詳しく聞くと, 魚骨を誤飲した記憶はないが前日に鯛を食べていた。魚骨は先鋭な2.2cmの鯛の骨と思われ, 摘出標本では穿孔部周囲粘膜に異常を認めなかった。魚骨によるメッケル憩室穿孔は本邦において文献報告14例と少なく, まれな症例である。自験例に加え14例の文献的考察もまとめて報告する。
  • 林 彦多, 大森 治樹, 五十嵐 雅彦
    2007 年 27 巻 7 号 p. 1009-1013
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2008/08/29
    ジャーナル フリー
    症例は83歳の女性。突然の腹痛で発症。前医加療後も症状進行のため, 当科紹介来院。腹膜刺激症状, 肉眼的血性便, 画像上腹水を認めた。汎発性腹膜炎を伴う増悪途中の腸管壊死として緊急手術の適応とした。開腹すると, 左側結腸を中心とする広範囲な腸管壁肥厚を触知したため, 肛門側で切開を加えたところ粘膜側に壊死を認めた。一旦, 視触診のみの判断で切除範囲を決定した。しかし切除標本上, 粘膜側の壊死は非連続性に分布し, 壊死が口側断端上にも及んでいた。そこで術中大腸内視鏡により切除範囲を検討した結果, 的確な追加切除を達成できた。最終診断は非閉塞性腸管虚血症とした。虚血性腸疾患の緊急手術症例では, ときに非全層型腸管壊死の切除の検討を要することがある。そのため適切な切除範囲決定のため術中内視鏡は有用あると思われた。
  • 黒田 久志, 吉田 武史, 日高 敦弘, 島 弘志
    2007 年 27 巻 7 号 p. 1015-1018
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2008/08/29
    ジャーナル フリー
    今回, われわれは墜落外傷による肝損傷, 腎損傷などに合併した左右肝管の完全断裂例を経験した。症例は20歳の男性。高さ約8mの足場からうつ伏せに墜落した。肝損傷に対して経カテーテル的動脈塞栓術を施行した。止血を確認した後, 腹水穿刺ドレナージを施行すると, 胆汁の排泄を認めた。内視鏡的逆行性胆管造影で肝管損傷と診断した。開腹所見では左右肝管が合流部から引き裂かれた様に完全断裂していた。左右別々に肝管空腸吻合を施行し, ステントとして逆行性経肝胆道ドレナージを挿入し, 5ヵ月後に抜去した。その後, 吻合部狭窄など認めず, 経過良好である。
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