日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
十二指腸憩室穿孔の1手術例
瓜園 泰之福島 英賢畑 倫明中村 達也奥地 一夫
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2008 年 28 巻 1 号 p. 89-91

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抄録
症例は60歳,男性。2005年5月に突然に発症した腹痛を主訴に来院した。心窩部から右季肋部にかけ自制困難な自発痛と圧痛を認め,白血球数16,900⁄mm3と上昇を認めた。腹部造影CTにて,十二指腸周囲から大動脈前面の後腹膜腔に気腫像を認めたため,消化管穿孔の診断のもと緊急手術を施行した。十二指腸下行脚外側漿膜面に膿瘍と憩室穿孔を認めた。憩室の切除と縫合閉鎖およびドレナージを施行し,術後の経過は順調であった。病理組織学的検査で,固有筋層を認めない仮性憩室と診断された。十二指腸憩室は消化管憩室の中で大腸についで多く認められ,ほとんどが無症状に経過する。しかし,まれに穿孔をきたすこともあるが,CTによる後腹膜腔の気腫像が本疾患を診断する上で非常に重要と思われるので,見逃しのないように留意して,治療時期を逸しないことが必要である。
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© 2008 日本腹部救急医学会
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