日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
内臓逆位症に腸回転異常症を伴い絞扼性イレウスを発症した1例
嶋田 仁櫻井 丈片山 真史湊 栄治嶋田 久諏訪 敏之大坪 毅人
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2008 年 28 巻 7 号 p. 985-988

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抄録

症例は72歳,男性。部分内臓逆位症,胆嚢摘出術の既往あり。早朝から間欠的腹痛,嘔吐,下痢を主訴に当院を受診した。X線上明らかな鏡面像は認めず,下痢が頻回であったため,感染性腸炎と診断し保存的治療を行い,腹痛は軽減,下痢回数も減少し一時症状は軽快した。しかし第4病日に腹痛が再燃し,絞扼性イレウスと診断し緊急手術を施行した。上行結腸は後腹膜に固定されておらず,腸回転異常症・不完全固定型と診断した。未固定の回盲部~上行結腸が捻転し虚血性壊死をきたしていた。その中央に10mmの穿孔を認めたため,回盲部~上行結腸切除,回腸瘻造設を行った。術後,敗血症性ショックをきたし,人工呼吸管理,エンドトキシン吸着療法および持続的血液濾過透析を必要とした。全身状態の改善を認めたが,術後15日目に急性心筋梗塞を発症し死亡した。内臓逆位症におけるイレウス症例では腸回転異常症を念頭に置く必要があると考えられた。

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© 2008 日本腹部救急医学会
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