日本腹部救急医学会雑誌
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原著
消化管穿孔性腹膜炎における予後指標因子としてのMannheim Peritonitis Index (MPI) の有効性
草場 隆史赤間 史隆石川 啓
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2009 年 29 巻 1 号 p. 27-31

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抄録

目的:Mannheim Peritonitis Index(MPI)は,穿孔性腹膜炎における簡便な予後予測指標として知られている。今回消化管穿孔性腹膜炎におけるMPIの臨床指標・予後における有用性について検討した。対象・方法:2000年1月~2006年3月までの佐世保中央病院で虫垂炎を除く消化管穿孔性腹膜炎48例を対象とした。MPIは8項目から成る加点法で算出した。結果:穿孔臓器は胃17例(35.4%),十二指腸9例(18.8%),小腸7例(14.6%),大腸12例(25.0%),直腸3例(6.2%)であった。死亡例は7例(胃1例,大腸3例,直腸3例)であり,下部消化管(特に直腸)で死亡率が有意に高かった(p<0.001)。死亡例のMPIは25~41(30.1±5.84:mean±SD,以下同じ)で,生存例の0~42(12.5±11.1)と比べ有意に高かった(p<0.001)。生存例においてMPI≧26の術後在院日数39.3±20.4日は,MPI<26の20.5±14.4日と比べ,有意に長期であった(p<0.05)。結語:死亡例のMPIは生存例に比べ有意に高く,MPI≧26の術後在院日数もMPI<26に比べ長期であった。消化管穿孔性腹膜炎症例において,MPIは簡便であり予後の指標になると考えられた。

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© 2009 日本腹部救急医学会
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