日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
子宮全摘術後の腟断端穿孔により絞扼性イレウスをきたした1例
那須 裕也西山 徹竹林 徹郎
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2009 年 29 巻 1 号 p. 95-97

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抄録

症例は73歳,女性。20年前に子宮筋腫で子宮全摘術を,また2年前に膀胱腫瘍で膀胱全摘術+尿路変更術(回腸導管)の既往がある。2007年1月,朝より腹痛を自覚し自家用車にて当院救急外来を受診。診察にて膣より腸が脱出しているのを認めた。腸は変色しており,肉眼的に壊死を疑い,同日緊急手術を施行した。中下腹部正中切開で開腹すると,回腸末端部近傍(回腸導管採取部の口側)が膣断端から体外に脱出していた。脱出腸管に切開を加え,腸内容物を排出することで拡張をとり,腹腔内へ還納し小腸部分切除術を行った。切除した小腸の肛門側が回腸導管の際に再建した部位に近接していたため,口側の小腸は回盲部と側々吻合を行った。婦人科手術後の膣穿孔・腸管脱出は数例報告があり,その多くは以前から膣脱を認めていたにもかかわらず未治療であった。自験例について文献的考察を加え報告する。

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© 2009 日本腹部救急医学会
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