日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
症例報告
小児急性胃粘膜病変の超音波像
藤井 喜充
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 29 巻 1 号 p. 99-102

詳細
抄録

小児の急性胃粘膜病変の特徴を検討した。2005年7月1日からの2年間に,激しい上腹部痛や嘔吐下血などの消化器症状,家族歴,アレルギー性紫斑病発症などにより,Helicobacter pylori(H. pylori)感染症を疑い検査を10例に施行した。結果5例が陽性で,消化器症状は3例に認めた。小児において内視鏡は侵襲が高度のため,消化器症状を有する8例に,腹部超音波検査を施行した。便中抗原陽性の3歳女児と5歳男児の2例は,超音波検査で第3層の全周性肥厚と壁の血流増加より,急性胃粘膜病変と診断した。潰瘍性病変の特徴である胃壁の局在性肥厚と,第1層の限局性肥厚像は認めなかった。H. pylori検査陰性の5例と陽性の11歳男児では,急性胃粘膜病変の超音波像を呈さなかった。腹部超音波検査は無侵襲のため反復して施行でき,H. pylori検査陽性の急性胃粘膜病変の診断および経過観察に有用であった。

著者関連情報
© 2009 日本腹部救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top