日本腹部救急医学会雑誌
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特集:急性肝不全における内科的治療と肝移植の進歩
わが国の劇症肝炎の現況と問題点
桶谷 真宇都 浩文井戸 章雄坪内 博仁
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2009 年 29 巻 4 号 p. 577-582

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抄録
全国調査によると2004年~2006年に発症した劇症肝炎は236例(急性型116例,亜急性型106例),LOHF14例で,平均年齢は急性型49歳,亜急性型54歳,LOHF56歳であった。急性型の成因はウイルス性65%,成因不明16%,薬物性13%,亜急性型は成因不明39%,ウイルス性29%,薬物性17%,自己免疫性15%であり,ウイルス性の多くはB型であった。内科的治療による救命率は急性型55%,亜急性型24%,LOHF30%であり,B型キャリア例は特に予後不良であった。一方,肝移植は全体の22%に実施され,救命率は77%であった。最近は免疫抑制・化学療法によるHBV再活性化およびde novo B型肝炎例が増加しており,その対策が必要である。
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© 2009 日本腹部救急医学会
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