日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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ISSN-L : 1340-2242
症例報告
Damage control surgery,経カテーテル的動脈塞栓術,集中治療で救命し得た外傷性中結腸静脈損傷,左胃大網動脈損傷の1例
小杉 千弘安田 秀喜幸田 圭史鈴木 正人山崎 将人手塚 徹樋口 亮太平野 敦史植村 修一郎土屋 博紀
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キーワード: 外傷性腹腔内出血
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2009 年 29 巻 5 号 p. 767-771

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抄録
症例は50歳代,男性。2007年7月脚立より転落し当院救急外来受診。腹部造影CT検査で,上腸間膜静脈近傍からの出血を指摘し得たため,緊急開腹手術施行。腹腔内に大量の出血を認め,中結腸静脈が,上腸間膜静脈へ流入する部位で切断されていた。上腸間膜静脈側の中結腸静脈根部の結紮止血は困難と判断しdamage control surgery(以下,DCS)としてガーゼパッキング施行。手術3時間後に腹腔内再出血出現し,開腹にて腹腔内の動脈性出血を認めたためガーゼパッキング追加し,腹部血管造影検査施行。左胃大網動脈からの出血を確認しtranscatheter arterial embolization(以下,TAE)施行し止血。36時間後にパッキングガーゼを除去し,救命し得た。外傷性腹腔内血管損傷は救命困難となる症例も多いが,DCSやTAEを複数の専門科で行うことで救命し得た。
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© 2009 日本腹部救急医学会
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