抄録
【目的】救急外来において急性虫垂炎に対する携帯型装置を用いた超音波検査(携帯超音波)の有用性について検討した。【対象・方法】救急外来で急性虫垂炎が疑われ,筆頭著者により携帯超音波が施行された33例中,携帯超音波の後に腹部 CTもしくは手術が施行された 24例を対象とした。携帯超音波による急性虫垂炎の診断精度について検討した。【結果】CTは 22例,手術は 12例に施行された。最終診断は急性虫垂炎18例,回腸末端炎 2例,骨盤腹膜炎 2例,憩室炎 1例,尿管結石 1例であった。携帯超音波の精度は感度 78%,陽性的中率100%であった。CTで腫大虫垂が確認できた15例中,腹壁から腫大虫垂までの最短距離が40mm未満は11例で,そのうち10例(91%)は携帯超音波で腫大虫垂が描出された。【結語】携帯超音波は急性虫垂炎の拾い上げに有用な可能性はあるが,その確証を得るにはさらなる検討が必要である。