2009 年 29 巻 6 号 p. 829-834
汎発性および限局性腹膜炎の手術において予防的ドレーン挿入は意義が不明なまま慣習化している。2002年4月から2006年1月までに岩手県高度救命救急センターで施行した消化管穿孔による,汎発性および限局性腹膜炎手術で一期的に閉腹した126例を対象としドレーン挿入の必要性について検討した。対象を2002年4月から2004年12月までの術中腹腔内洗浄およびドレーン挿入にて閉腹した群(D群)79例と,2005年1月以降の術中腹腔内洗浄のみで閉腹した群(ND群)47例の2群に分類しretrospectiveに検討した。all overの合併症発生率はD群67%,ND群42%(p=0.0070)だった。入院期間はD群21.3±9.7日,ND群17.8±9.0日(p=0.03)だった。感染源と穿孔部をコントロールできた腹膜炎手術における予防的ドレーン挿入は有用性がない可能性があり,再考を要する。