日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
CTにより早期診断が可能であった思春期発症原発性小腸軸捻転症の1例
田崎 達也津村 裕昭日野 裕史金廣 哲也市川 徹
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2009 年 29 巻 7 号 p. 1055-1058

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抄録

症例は14歳の男性で,腹痛のため,当院小児科救急外来に搬入された。腹部単純X線検査の結果,腸閉塞と診断されたため,外科に紹介され緊急入院した。既往歴に特記すべきことはなかった。腹部CTにて腸間膜の血管を中心として小腸が渦巻き状に巻き込まれるwhirl signを認めたため,小腸軸捻転症と診断し緊急手術を行った。手術所見は,全小腸が上腸間膜動脈を中心に時計方向に270度捻転していた。腹腔内には軸捻転の誘因となる腸回転異常症などの疾患や異常所見を認めなかったため,原発性小腸軸捻転症と診断した。腸管の壊死はなく捻転の解除のみ行った。術後経過は良好であった。小児期に発症する急性腹症の原疾患は極めて多く,開腹歴のないイレウスの原因も多彩であるため,診断,治療に苦慮することが多いが,本症の可能性も考慮し,診断に際しては腹部CT所見が重要であると考えられた。

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© 2009 日本腹部救急医学会
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