日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
特集:急性腹症での創閉鎖の工夫
汎発性腹膜炎手術例における腹壁瘢痕ヘルニア発生とその予防
樋口 亮太安田 秀喜幸田 圭史鈴木 正人山崎 将人手塚 徹小杉 千弘今井 健一郎平野 敦史植村 修一郎土屋 博紀
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 30 巻 7 号 p. 899-904

詳細
抄録
(目的)汎発性腹膜炎手術例における創閉鎖にまつわるトラブルと対策について検討した。(対象・方法)SSIサーベイランス開始後の緊急手術60例を対象とした。汎発性腹膜炎群(A群18例)と非汎発性腹膜炎群(B群52例)に分け,SSI,術後腸閉塞と腹壁瘢痕ヘルニアの発生率とその対策について検討した。(結果)SSIはA群78%,B群33%(P=0.002)に,術後腸閉塞はA群6%,B群5%(P=NS)に,腹壁瘢痕ヘルニアがA群17%,B群0%(P=0.024)に発生した。下部消化管穿孔,汎発性腹膜炎手術と人工肛門造設は腹壁瘢痕ヘルニア発生の危険因子であった。対策として温生食による腹腔内大量洗浄,創部の減張縫合や皮下ドレーンの留置が行われていた。(結語)下部消化管穿孔を起因とする汎発性腹膜炎手術例で人工肛門造設を余儀なくされるような症例では,術後の腹壁瘢痕ヘルニア発生に注意が必要であると考えられた。
著者関連情報
© 2010 日本腹部救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top