2010 年 31 巻 1 号 p. 19-27
大腸穿孔症例の予後および術後在院期間に関する予測因子について検討した。過去7年間に当科で手術を施行した54例を対象とし,生存群と死亡群の2群および術後在院期間30日以内(短期群)と31日以上(長期群)の2群に分けて検討した。死亡群は6例(11.1%)であった。死亡群では単変量解析でSystemic inflammatory response syndrome(SIRS),Acute Physiology and Chronic Health Evaluation(APACHE) IIscore高値,遊離穿孔,糞便性腹膜炎,エンドトキシン吸着療法が有意に多かった。術後在院期間長期群は30例(62.5%)であった。多変量解析では,併存疾患数と創感染が術後在院期間長期群の独立した予測因子として選択された。予後予測因子を認める症例に対しては敗血症に対する治療が重要である。また,救命できた症例においても在院期間の短縮のために,併存疾患に対する十分な周術期管理や術中・術後の創感染対策が必要であると考えられた。