抄録
胆道炎ガイドラインの出版から5年の歳月が経過し,診断基準のなどの精度を検証する時期になっている。今回,初期診断74例の急性胆管炎症例と初期診断81例の急性胆嚢炎症例を用いて,胆道炎ガイドラインの診断基準の診断精度を検証した。結果,急性胆管炎に関しては疑診と確診を対象とした場合,診断基準の感度は83.6%,特異度は30.7%,確診のみを対象とした場合,感度は45.9%,特異度は84.6%であった。急性胆嚢炎では,疑診と確診を対象とした場合,感度89.0%,特異度37.5%,確診のみを対象とした場合,感度72.6%,特異度62.5%という結果であった。Charcot3徴とMurphy徴候はいずれも特異度が高く確定診断には有用であるが,感度が低いため除外には有用ではないことがわかった。症例を拾い上げる上で胆道炎ガイドラインの診断基準は感度を高く保つ必要がある一方で,確診とする上ではさらに高い特異度を改訂の際に求めていく必要がある。