日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
腹腔鏡下観察を行った特発性気腹症の1例
本城 弘貴加納 宣康太田 智之山田 成寿
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2011 年 31 巻 3 号 p. 575-578

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抄録
症例は86歳男性。2008年,2日前からの38℃台の熱発・咽頭痛にて近医受診した。胸部単純X線写真・腹部CTにて腹腔内遊離ガス像を認めたため,消化管穿孔を疑い当院救急搬送となった。来院時,明らかな腹部所見は認められず採血上も軽度のCRP上昇を認めるのみであった。しかし,CT・胸部単純X線写真にて横隔膜下に多量の腹腔内遊離ガス像を認めたため,消化管穿孔を否定できず腹腔鏡下観察を施行した。術中検索では明らかな腸管穿孔を示唆する所見は認めず,膀胱付近の腹膜とごく一部の腸管壁にわずかな気腫性変化を認めるのみであった。術後も特に問題なく経過し,上部・下部消化管内視鏡検査にても異常は認めなかったため,特発性気腹症と診断した。本邦において,特発性気腹症は文献上過去に23例の報告があるのみで,比較的まれな疾患である。本症例においてもfree airの出現した明らかな原因は不明であるが,原因について若干の考察を加えて報告する。
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© 2011 日本腹部救急医学会
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