日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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原著
重症急性膵炎(SAP)に対する膵局所動注療法の使用抗菌薬に関する検討
─BIPMとIPM/CSの前向き無作為比較試験─
山崎 繁通石倉 宏恭紙谷 孝則田中 潤一西澤 新也高良 真一東原 秀行岩下 英之坂 暁子吉兼 誠向坂 彰太郎
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2011 年 31 巻 5 号 p. 705-712

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抄録
蛋白分解酵素阻害剤および抗菌薬の膵局所動注療法(以下,動注療法)は,重症急性膵炎に対する特殊療法の1つである。抗菌薬は一般にimipenem/cilastatin sodium(以下,IPM/CS)が多く使用されているが,他の抗菌薬との比較検討はほとんどなされていない現状にある。今回,動注抗菌薬としてbiapenem(以下,BIPM)とIPM/CSの臨床効果に関する比較検討を実施した。2006年8月から2009年4月の間に当施設に入院した重症急性膵炎患者で動注療法の適応と判断した12例を対象とした。動注療法開始前に封筒法を用いてBIPM群6例とIPM/CS群6例に割り付け,臨床効果を比較検討した。動注療法は全例ICU入室48時間以内に開始され,7日間実施された。今回の検討により,カルバペネム系抗菌薬のBIPMはIPM/CSと比較して非劣性の動注可能な抗菌薬であることが示唆された。
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© 2011 日本腹部救急医学会
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