2011 年 31 巻 5 号 p. 751-757
近年,地域医療の崩壊が危惧されている中で,当院は救急患者を安全に,迅速に,高い医療水準で治療したいと考えている。しかし,以前は救急搬送患者の診察は,混雑する一般外来と同じ場所で,診療の合間に行っていた。その際,医師間または医師とコメディカル間の連携不足もあり,結果的に,円滑で迅速な診断治療は行えないことがあった。また,救急搬送を依頼された時点で,手術,検査中や専門外という理由で,受け入れ不能とすることがあり,満足できる救急医療ではなかった。改善するための取り組みとして,消化器外科指導医が主導し,一般外来を救急外来と分離し,一般外来患者は附属クリニックで,救急搬送患者は,診療時間内外を問わず,病院の救急外来(救急部)で診断治療を行った。約10年間の取り組みにより,特に腹部救急患者に対して,医師とコメディカルとの親密なチーム医療や医師間の垣根のない関係が構築でき,迅速,円滑,安全な質の高い救急医療が可能になったと考える。