日本腹部救急医学会雑誌
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特集:腹部救急における患者受け入れ体制の現状と対策
地方都市中核病院における腹部救急診療の現状と対策
─地方中核病院での救急部門による対応と研修制度とのリンク─
石川 正志
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キーワード: 腹部救急, 医療崩壊, 教育
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2011 年 31 巻 5 号 p. 759-763

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抄録
臨床研修制度導入後,地方においては若手医師等の減少により救急業務に支障をきたしているのが現実である。そのため腹部救急における若手医師の指導が行われているのは,大学病院あるいは基幹病院であるが,指導医を取り巻く環境も大きく変わってきた。腹部救急における指導は,日常の医療業務を行いながらさまざまな制約の中で行われるという特徴がある。そこで当院における腹部救急の現状と卒後教育の取り組みを検証するために,(1)腹部救急における地方の中核病院の現状と役割,(2)消化器専門医のみならず他科の若手医師に対する効率的な教育法について検討した。当院では1次から3次救急まで年間約30,000人の患者を受け入れており,そのうち消化器疾患の患者は1,000人であるが,近年その数の増加は著しい。そこで現在では,一般診療から救急まで内科と外科の垣根をなくし,消化器科として対応するようにしている。当院の初期研修医に行った腹部救急に関するアンケートでは,指導体制,救急体制の機能性等には高評価が得られ,研修が今後役立つとの評価も得た反面,症例数,患者を診る時間,勤務条件等には不満もみられた。地方における腹部救急患者の現状を述べ,若手医師に対してよりよい効率的な研修体制について考察した。
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© 2011 日本腹部救急医学会
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