2011 年 31 巻 5 号 p. 783-787
症例は75歳の女性。主訴は吐血,当科で膵体部癌に対して膵体尾部・脾臓合併切除術を行った。術後仮性膵嚢胞を認めたため絶食および中心静脈栄養による保存的治療を開始し経過観察していた。第28病日に吐血を認めCTで明らかな動脈瘤や活動性出血を認めなかったため保存的加療を継続した。第31病日に再吐血しCT検査で脾動脈切離断端近傍と考えられる部位からの造影剤の血管外漏出像を認め,ショック状態となったため緊急手術を行った。開腹所見では,脾動脈根部付近に仮性動脈瘤の破裂と考えられる動脈壁の破綻部を認め拍動性出血を認めた。出血点を挟み込むようにして中枢側と末梢側の総肝動脈を結紮し止血を得てさらに腹腔内ドレナージ術を行った。止血術後経過は良好で現在外来経過観察中である。