2011 年 31 巻 5 号 p. 789-792
症例は88歳,男性。4日前より持続する腹痛を主訴に当院救急外来受診した。来院時の腹部所見では腹部全体に筋性防御を認め,腹部CT検査で遊離ガス像を認めたため,汎発性腹膜炎および消化管穿孔の診断で緊急開腹術施行した。開腹所見では,横行結腸脾弯曲よりに穿孔部を認め,同部を含む横行結腸切除および人工肛門造設術施行した。摘出標本では,中心部に穿孔を伴う比較的軟らかい潰瘍限局型の腫瘍を認め,病理組織検査で悪性リンパ腫diffuse large B-cell typeと診断した。大腸原発悪性リンパ腫の穿孔例は比較的まれであり,文献的考察を加え報告する。