日本腹部救急医学会雑誌
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特集:NOMI(non-occlusive mesenteric ischemia)をいかに診断し,治療するか
重症急性膵炎とnon-occlusive mesenteric ischemia
辻 喜久山本 博能登原 憲司児玉 祐三千葉 勉
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2011 年 31 巻 7 号 p. 1029-1037

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抄録

重症急性膵炎に非閉塞性腸間膜虚血症(non occlusive mesenteric ischemia:NOMI)を併発すると,予後不良である。また,重症急性膵炎におけるNOMI併発の機序など,いまだ不明な部分も多い。近年,重症急性膵炎患者における血管攣縮関連因子(angiopoietin-2, エンドセリン-1,VEGFなど)や凝固関連因子(ADAMTS13など)の異常が報告されており,NOMIとの関連が推測される。一方,NOMIの病理像については,不明な点が多い。われわれの経験では,虚血に由来した腸管のダメージが腸管の各所に不連続に偏在しており,NOMIの病理像の特徴の一つと考えられた。また,NOMIの診断方法は,血管撮影検査がgolden standardであるが,簡便な検査とはいいがたい。一方,われわれの肝perfusion CT検査を用いた研究では,肝血流障害がNOMIに併発することが明らかになり,肝血流を指標としてNOMIを診断できる可能性があると考えられた。最後に,こうした重症急性膵炎におけるNOMI発症の機序や病理像,診断方法の理解から,現在のわれわれの治療方針について報告する。

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© 2011 日本腹部救急医学会
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