2011 年 31 巻 7 号 p. 1021-1027
Non-occlusive mesenteric ischemia(以下,NOMI)に対する治療法として,血管拡張剤の動注療法が一般的になりつつあるが,重症例において適応とするのは困難と言われている。われわれはショックを伴った重症型NOMIに対して,積極的な開腹手術を中心とした治療を展開しており,今回この妥当性を検証した。対象17例の平均APACHE-IIスコアは31.2と高く,全例ショック状態であった。全例緊急開腹術を施行し,14例で腸管壊死を認めた。また,second look手術を施行した13例中5例で腸管壊死を認めた。追加切除術が不要であった10例に対しては,動注療法を施行していなかった。最終的な致死率は47%(8例)であった。なお,術前の採血や臨床経過から,腸管壊死の有無を確実に鑑別することは困難であった。重症型NOMIにおいては,生理学的徴候が破綻しており,根治的手術が困難であるのみならず,複数回の壊死腸管切除術が必要となる割合も高いため,second look手術を想定した迅速な開腹手術を行う治療戦略が有用である。