日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
鈍的外傷による十二指腸離断の1例
福田 直也桑谷 俊彦角谷 昌俊竹林 徹郎
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2012 年 32 巻 1 号 p. 129-133

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抄録

51歳,男性。労働事故による腹部打撲で救急搬入。受傷1時間後のCTで腹腔内・後腹膜に出血を疑い,受傷5時間後のCTでは出血の進行を認めたため,緊急開腹とした。外傷性十二指腸離断(IIc),腹腔内・後腹膜出血および横行結腸壊死の診断で十二指腸端々吻合,結腸右半切除を施行した。術後28病日に吻合部縫合不全,胆嚢壊死および膵液・胆汁瘻に対して再手術を施行し,術後78病日に退院した。外傷性十二指腸損傷のうち,十二指腸離断はこれまで本邦報告18例(自験例含む)と,非常にまれなものである。受傷機転は交通事故が最多で,受傷から6時間以内に9例が手術を施行されている。術式は十二指腸端々吻合6例,十二指腸空腸吻合4例,膵頭十二指腸切除・十二指腸憩室化術各2例などで,18例中15例が救命された。本外傷は,十二指腸損傷部位と合併損傷臓器に対する適切な手術を早期に施行できれば,救命が可能であると考える。

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© 2012 日本腹部救急医学会
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