日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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原著
肝損傷非手術管理におけるDIC-MDCTによる肝内胆管損傷の早期診断
光定 誠中島 康城川 雅光関 薫子佐藤 やよい塩入 貞明若山 達郎
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2012 年 32 巻 1 号 p. 13-18

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抄録

肝損傷非手術管理の15症例(IIIb型11例,Ib型4例)を対象としてintrahepatic biliary injury(IHBI)の早期診断を目的にDIC-CTを施行した。肝損傷形態とTAE必要性の有無別にIHBIの頻度と治療成績を検討した。IIIb型でTAE施行例では5例全例(100%)にIHBI所見を認めた。うち2例は肝外漏出像を認めたため追加処置を要したが軽快退院した。肝外漏出像を認めなかった3例については追加処置を要さず経過良好であった。IIIb型でTAE非施行の6例ではDIC-CTにおいて1例(16.7%)にIHBIを認めたがTAE施行例に比較して有意に低頻度で,IHBIを認めなかった5例も含めて全例保存的に軽快した。またISS値はTAE施行例より有意に低値であった。Ib型にはTAE施行例はなくIHBIも認めず保存的に軽快した。TAEを必要とするような重症肝損傷において,本検査を早期の肝内胆管損傷の診断に用い肝外漏出像を認めた場合にドレナージなどを行うとする診療戦略は妥当であると考えられた。

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© 2012 日本腹部救急医学会
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