2012 年 32 巻 3 号 p. 583-586
【目的・方法】S状結腸軸捻転症(SV)は,腸管の通過障害や血行障害から壊死穿孔をきたしうる急性腹症の1つであるが,その治療方針はいまだ確立されていない。当施設では,以下の方針で治療を行ってきた。(1)筋性防御陽性かつ全身状態不良(ショック)例,内視鏡で減圧不能例や腸管壊死例には緊急手術を行い,それ以外は待機的手術を行った。(2)緊急手術では原則としてHartmann手術を行った。(3)待機的手術ではS状結腸切除を行った。この治療方針の妥当性を検証することを目的として,SVで手術した35例について臨床的に検討を行った。【結果】平均年齢は76歳。男性29例女性6例。手術死亡はなかった。緊急手術例(n=10)は待期手術例(n=25)と比較して術後在院日数が有意に長く,総在院日数は長い傾向がみられた。【結語】来院時に全身状態が良好であれば大腸内視鏡下に整復や減圧を試み,待期的に手術を行うことが推奨される。