日本腹部救急医学会雑誌
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原著
下腹部痛を主訴とした付属器疾患に対する携帯型装置を用いた経腹超音波検査
亀田 徹高橋 功
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2012 年 32 巻 3 号 p. 587-593

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抄録
【目的】付属器疾患に対する携帯型装置を用いた経腹超音波検査(携帯経腹超音波)の有用性の検討。【対象と方法】下腹部痛を主訴に救急外来を受診した15~50歳の女性患者で携帯経腹超音波を施行された46例のうち,救急外来で確定診断がなされたか,後に専門外来を受診した32例について検討した。【結果】32例中付属器疾患は15例でその内訳は,出血性卵巣嚢胞5例,卵巣腫瘍4例,内膜症性嚢胞3例,卵管妊娠1例,卵管留膿腫1例,付属器炎1例であった。婦人科手術は9例に行われたが,そのうち8例(89%)は携帯経腹超音波で付属器病変,もしくは腹腔内出血を指摘できた。付属器疾患に対する携帯経腹超音波の精度は,感度87%,特異度94%,正確度91%であった。【結語】救急外来において携帯経腹超音波は付属器疾患の存在診断に有用で,婦人科以外の医師が利用する価値のある検査と考えられるが,その確証を得るにはさらなる検討が必要である。
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© 2012 日本腹部救急医学会
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