日本腹部救急医学会雑誌
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特集:急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドラインを検証する―改訂に向けてのプロセスと課題―
臨床からみた急性胆管炎,急性胆嚢炎の診断基準の検証結果および問題点
桐山 勢生熊田 卓谷川 誠久永 康宏豊田 秀徳金森 明多田 俊史
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2012 年 32 巻 3 号 p. 623-627

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抄録
現在,急性胆管炎・胆嚢炎の診断規準は,国内版と国際版ガイドラインであるTOKYO Guidelines(以下,TG2007)による診断基準が並立してdouble standardとなっている。国際版のTG2007に合わせた共通の診断基準となることが望まれる。今回,われわれは臨床例を対象にTG2007による急性胆管炎・胆嚢炎の診断基準を検証した。[急性胆管炎]有症状総胆管結石の患者201例を対象にTG2007の診断基準を当てはめると,その感度は確診のみでは70.1%となり十分な感度とは言えないものであった。これには診断項目の組み合わせが不適切であり,特にCharcot3徴に「胆道疾患の既往」を組み合わせた4項目のうち2項目以上が診断に必要な点が問題と考えられた。[急性胆嚢炎]手術により急性胆嚢炎が確認された155例を対象に,TG2007急性胆嚢炎診断基準を検証した。確診は155例中137例(88.4%)となり良好な感度を示した。妥当な診断基準といえるが,確診の表現が曖昧であり見直すべきと考えられた。【結語】国際版ガイドラインであるTG2007による診断基準は,今回実地臨床による検証の結果,一部問題点があることが判明し改訂が必要と考えられた。
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© 2012 日本腹部救急医学会
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