抄録
症例は62歳,男性。下血を主訴に紹介され,精査のため,入院した。翌日ショック状態となり,緊急手術を施行した。手術時明らかな出血点が不明であったが,終末回腸のみに凝血塊を認め,凝血塊を含めた通常より回腸を長く切除する回盲部切除術を施行した。しかし,術後3日目より再び大量の下血を認め,ショック状態となった。再度施行したDynamic CTでは,左上腹部の小腸内に造影剤の漏出像を認めた。前回の手術で出血部位を切除できておらず,また,場所が移動していることから小腸からの出血と考え,再び緊急手術を施行した。再手術の所見では,空腸にも凝血塊が透見され,Trietz靱帯より50cm肛門側の空腸に白色の壁肥厚を認め,同部位を部分切除した。腫瘍は粘膜下腫瘍の形態で,粘膜面は陥凹しており,中心に露出血管様の壊死を認めた。術後の組織学的検査では,小腸原発のT細胞性リンパ腫であった。