抄録
症例は40歳代の女性。突然発症した上腹部痛を主訴に当院に救急搬送された。腹部CTで胆嚢内容が高吸収を示し,胆嚢出血・胆嚢炎と診断された。肝逸脱酵素・胆道系酵素の著明な上昇も認めたため内視鏡的逆行性経鼻胆道ドレナージを行い保存的加療を開始したが,炎症反応の悪化を認めたため,経皮経肝的胆嚢ドレナージを施行した。炎症反応が改善した発症29日目に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し,術後3日目に退院した。摘出標本では胆嚢壁がびまん性に肥厚し,胆嚢底部に胆嚢腺筋症による限局性の壁肥厚を認めた。肉眼所見では明らかな出血原因は指摘できなかったが,病理所見で胆嚢粘膜内にRokitansky-Aschoff sinus(RAS)が散見され,一つのRAS腔内に血液が充満する所見を認めた。RAS周辺に生じた炎症により,粘膜下の血管破綻が生じて胆嚢および胆道内に出血をきたしたものと考えられた。