日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
症例報告
Rokitansky-Aschoff sinus内の血管破綻により胆道出血をきたした胆嚢腺筋症の1例
上田 有紀小練 研司永野 秀樹村上 真廣野 靖夫五井 孝憲飯田 敦片山 寛次山口 明夫
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 32 巻 3 号 p. 681-685

詳細
抄録
症例は40歳代の女性。突然発症した上腹部痛を主訴に当院に救急搬送された。腹部CTで胆嚢内容が高吸収を示し,胆嚢出血・胆嚢炎と診断された。肝逸脱酵素・胆道系酵素の著明な上昇も認めたため内視鏡的逆行性経鼻胆道ドレナージを行い保存的加療を開始したが,炎症反応の悪化を認めたため,経皮経肝的胆嚢ドレナージを施行した。炎症反応が改善した発症29日目に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し,術後3日目に退院した。摘出標本では胆嚢壁がびまん性に肥厚し,胆嚢底部に胆嚢腺筋症による限局性の壁肥厚を認めた。肉眼所見では明らかな出血原因は指摘できなかったが,病理所見で胆嚢粘膜内にRokitansky-Aschoff sinus(RAS)が散見され,一つのRAS腔内に血液が充満する所見を認めた。RAS周辺に生じた炎症により,粘膜下の血管破綻が生じて胆嚢および胆道内に出血をきたしたものと考えられた。
著者関連情報
© 2012 日本腹部救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top