2012 年 32 巻 7 号 p. 1163-1167
外傷性脾損傷の治療は手術療法から保存的治療や血管塞栓術(TAE)などのNOM(非手術治療)が多くなっている。MDCTの発達により,早く,高精度に診断でき,さらに動脈相,平衡相の撮影により,血管外漏出象の有無,仮性動脈瘤の検出が可能となった。そしてTAEの普及により,選択的に素早く止血できるようになっている。NOMの成功率は92.5%であった。しかしながら,手術治療も全体の22%で行われていた。形態的にはIIIb型では78%でTAEや手術が必要であった。バイタルサイン,造影CT検査,合併損傷などを総合的に判断し,診断,治療を行うことが重要である。