抄録
腸管腸間膜損傷に対する治療戦略に関して,自施設での28症例(54ヵ月間)を後方視的に検討した。19例の鈍的損傷のうち交通外傷が13例(68%)を占め,術前にCTが施行されているのは18例(95%)であり,腹腔内遊離ガスがみられたのは6例(33%)であった。腹腔内遊離ガスがみられなかった12例のうち6例は腸間膜からの血管外漏出像があり緊急開腹術を行った。3例はCT後の血行動態不安定から同様に緊急開腹術を行った。2例は診断的腹腔鏡検査で診断が確定し,1例は20時間後のCTの再検により確定に至った。また鋭的損傷9例のうち血行動態が安定していて,腹壁損傷が小さい2例においては診断的腹腔鏡検査を行った。血行動態が安定していれば,非治療的開腹を減らすためにCTや診断的腹腔洗浄・診断的腹腔鏡検査を行うべきである。