抄録
症例は外傷既往のない53歳,男性。突然の左季肋部痛で来院したが,血液生化学検査では軽度の肝酵素の上昇以外に異常はなかった。腹部造影CT検査にて脾下極の断裂による腹腔内出血と造影剤血管外漏出を認めた。腹部血管造影検査で脾内に小さな動脈瘤を認め,非外傷性脾破裂の診断で緊急脾摘出術を施行した。開腹時に脾背面の被膜断裂からの出血を確認した。組織学的には脾内の仮性動脈瘤とこれに連続する動脈中膜の断裂をみるものの,今回の脾破裂を惹起する背景疾患が不明なため,自然脾破裂と診断した。経過良好で術後9日目に退院した。原因が明らかでない非外傷性脾破裂のうち,本症例のような小さな動脈病変が潜んでいる可能性がある。今回,血管造影による評価を行った上で脾摘を施行し,自然脾破裂と診断した1例を経験したので,文献的考察を加え報告する。