抄録
症例は71歳,女性。2010年12月下旬夜より腹痛と嘔吐があり当院救急外来を受診した。来院時の腹部は膨隆し腹膜刺激症状を認めた。腹部単純写真ではniveauの形成があり,腹部CTでは小腸の壁肥厚と口側小腸の拡張,中等量の腹水を認めた。イレウスの診断で緊急開腹手術を施行した。腹腔内には漿液性の腹水を認め,小腸は著明に拡張し,Treitz靱帯から306~404cmの間で3ヵ所の壁肥厚を認めた。うち1ヵ所で食物残渣が嵌頓しており食餌性イレウスの状態であり約1mの小腸部分切除術を行った。術後に生イカの摂取歴を確認し,血清で抗アニサキスIgG+IgA抗体価の陽性と病理組織診断でアニサキスの虫体を確認できた。術後経過は特に問題なく術後14日目に退院した。小腸アニサキス症はアニサキス症の中でも比較的まれで確定診断が困難である。イレウスを伴う急性腹症の場合には本症例も鑑別診断に加え,外科的手術も考慮する必要があると考える。