2012 年 32 巻 7 号 p. 1243-1245
症例は74歳の女性。既往に子宮体癌に対して広汎子宮全摘術が施行されている。繰り返す嘔吐を主訴に救急外来を受診した。右下腹部に軽度圧痛があり,腹部X線写真で限局的な小腸の拡張を認めた。腹部造影CTで絞扼性イレウスと診断し,緊急手術を施行した。索状物を起点として小腸がループを形成し,拡張していた。索状物が右外腸骨動脈に伴走する右外腸骨静脈であることが判明した。嵌頓し拡張した腸管は用手的に整復することができた。外腸骨静脈と外腸骨動脈の間隙に小腸が迷入し内ヘルニアとなり,絞扼性イレウスを発症したと考えられた。術後経過は良好で術後7日目に退院した。術後の露出した血管を原因としたイレウスの報告はまれであり,若干の文献的考察を加えて報告する。