抄録
症例1は透析歴5年の70歳代女性。冠動脈石灰化,胸部大動脈瘤の精査目的に当院循環器科を受診した。胸部X線検査でfree airを指摘され腹部CT検査を施行,S状結腸に多発する憩室とfree airを認めS状結腸憩室穿孔と診断し緊急手術を施行した。術中所見ではS状結腸に膿苔の付着した憩室穿孔部を認め,S状結腸部分切除,ストマ造設術を行った。術後は良好に経過し30日目に軽快退院した。症例2は透析歴9年の70歳代男性。冠動脈バイパス術後の定期受診時に発熱,全身倦怠感の訴えがあり当院心臓血管外科に入院した。精査目的に行ったCT検査で虚脱したS状結腸に憩室を認め,直腸膀胱窩にはairの混在した液体が貯留していたためS状結腸憩室穿孔を疑い緊急手術を施行した。術中所見ではS状結腸に膿苔の付着した憩室穿孔部を認めS状結腸部分切除,ストマ造設術を施行した。術後は持続的血液濾過透析,エンドトキシン吸着を行い,長期の人工呼吸管理を要したが104日目に退院となった。本2例は共に大腸憩室穿孔例であったが腹部所見に乏しく当初は消化管穿孔を疑っていなかった。透析患者,特に高齢者では腹痛などの臨床症状に乏しいこともあり注意を要すると思われた。