抄録
症例は63歳,女性。多発肝嚢胞,多発腎嚢胞の既往があり,慢性腎不全に対して血液透析を施行していた。嘔吐を主訴に救急外来を受診し,来院時著明な肝腫大に加えて腹部膨満,Howship-Romberg signが認められた。腹部CT検査で右閉鎖孔に陥入する軟部陰影,小腸の拡張を認め,右閉鎖孔ヘルニア嵌頓による腸閉塞の診断で緊急手術を施行した。開腹時,多発肝嚢胞,多発腎嚢胞により術野の展開が不良であったため,用手的整復のみ施行しヘルニア門の修復を行わず手術を終了した。退院後23日目に再度下腹部痛を認め,腹部CT検査で右閉鎖孔ヘルニアの再発を認めたため同日緊急手術を施行した。腹膜前腔からアプローチし,Kugel Patchにより閉鎖孔,Myopectineal orificeを覆い手術を終了した。閉鎖孔ヘルニアに対するKugel Patchを用いた根治術は,再発症例に対する有用な手術と考えられた。