日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
胃結腸瘻を形成した胃良性潰瘍の1例
佃 玄紀横山 登磯崎 正典松尾 海野垣 航二保母 貴宏有馬 秀英相田 貞継清水 浩二熊谷 一秀
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キーワード: 胃結腸瘻, 胃潰瘍
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2013 年 33 巻 1 号 p. 105-109

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抄録
症例は54歳,男性。重度の下痢と低栄養状態および歩行困難にて救急病院に搬送され,上部消化管内視鏡検査,注腸検査で胃横行結腸瘻が疑われ当院紹介入院となった。上部消化管内視鏡検査では,胃角部後壁に瘻孔を認め,結腸への内視鏡の挿入が容易であった。また,瘻孔より盲腸,直腸の観察が可能であった。悪性を疑う所見は乏しく,病理組織学的検査においても悪性所見は認められなかった。以上より,胃潰瘍が横行結腸に穿通し瘻孔を形成したものと診断した。極度の低栄養を認めたため,中心静脈栄養,経腸栄養を施行するも改善認めなかったため,手術の方針となった。胃局所切除,横行結腸部分切除,小腸部分切除術を施行した。切除標本の病理組織学的検査結果でも,悪性所見は認めず,胃潰瘍による胃結腸瘻と診断した。今回,良性胃潰瘍を原因とする胃結腸瘻の1症例を経験したので,自験例を加えた本邦報告20例を集計し文献的考察を加えて報告する。
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© 2013 日本腹部救急医学会
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