2013 年 33 巻 3 号 p. 667-669
成人腸重積症の原因は器質的疾患の割合が高く,外科的治療が選択されることが多い。今回われわれは保冷シートの誤飲により発症した腸閉塞が,腸重積様の画像所見を呈したため緊急手術に至った例を経験したので報告する。症例は90歳男性。嘔吐, 発熱, 意識障害のため当院に救急搬送された。腹部は著名に膨満し,CT検査で小腸にtarget sign様所見を呈する浮腫状腸管を認めたため,腸重積症の診断で緊急手術を行った。術中所見では腸重積を認めなかったが,触診で回腸に異物が疑われたため切開し摘出した。異物は解熱用保冷シートであり,腸管内で管腔状に包まったため,重積様の画像所見を呈したと考えられた。