抄録
要旨:症例は63歳,男性。1年前から腹痛が継続していたが放置していた。腹痛が増強したため当院受診。腹部CTで,胃前庭部から十二指腸下行脚にかけて壁肥厚・周囲脂肪織の毛羽立ちを示し,十二指腸球部の腹側に限局したair-fluid levelがみられた。十二指腸潰瘍穿孔が疑われ開腹下に手術を行った。十二指腸球部上壁から後壁にかけての部分が4cm大の潰瘍穿孔をきたしていた。潰瘍穿孔部よりTチューブを挿入し大網で被覆した。術直後から術後第12病日までPPIとSMSの同時投与を行ったが,投与直後より消化液分泌が抑制された。術後第13病日にTチューブ造影で球部からの造影剤漏出がないのを確認し経口摂取を開始した。術後第26病日Tチューブを抜去し,術後第39病日に退院とした。4cm大の十二指腸球部潰瘍穿孔とそれに伴う慢性炎症のため予後不良となることが予測されたが,SMS,PPI,Tチューブ,大網被覆により良好な経過が得られた。