抄録
要旨:症例は,73歳の男性。主訴は嚥下困難。既往歴は2年前に慢性閉塞性肺疾患(COPD)と診断された。上部消化管内視鏡検査にて胸部下部食道に腫瘍を認め,生検で扁平上皮癌であった。胸部CT検査にて食道壁肥厚とリンパ節転移を認め,cT2N1M0,cStageIIIの進行食道癌と診断した。COPDによる呼吸機能の低下から食道切除術は困難と判断し,化学放射線療法を施行した。治療終了後,腫瘍は縮小したが,著明な食道狭窄が残存した。内視鏡下拡張術および化学療法を施行中に,胆嚢結石による急性胆嚢炎を繰り返し併発した。腹腔鏡補助下食道バイパス手術と腹腔鏡下胆嚢摘出術を一期的に施行した。術後はCOPDの軽度悪化とminorな縫合不全を認めたが,保存的治療にて改善し軽快退院となった。死亡するまでの術後12ヵ月のうち約11ヵ月の間,固形物の摂取が可能であった。