2013 年 33 巻 7 号 p. 1185-1187
要旨:75歳,男性。左下肢痛を主訴に近医を経て当院を受診した。来院時,左足背遠位,右足指,両手指に紫斑を認めた。血液検査で貧血,著明なFDP上昇を伴う播種性血管内凝固症候群(DIC)を認め,輸血およびメシル酸ガベキサートを開始した。入院2病日に呼吸状態悪化のため気管挿管した。両下腿,両手指ともに壊死へと進行した。CEA高値を認め,担癌によるDICが示唆された。多臓器不全の進行のため入院50病日に死亡した。剖検にて胃癌(低分化型腺癌)を認め,胃癌によるDICにより末梢性対称性四肢壊死(SPG)と診断した。SPGの原因としては感染症だけでなく,癌によるものも鑑別診断として重要である。