日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
用手的整復が可能であった嵌頓閉鎖孔ヘルニアの3例
髙木 格藤井 康
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2013 年 33 巻 8 号 p. 1289-1293

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抄録

閉鎖孔ヘルニアの嵌頓は比較的まれで,緊急開腹術が施行されることが多いが,最近用手的整復を行った報告例が増加している。今回われわれは用手的整復が可能であった本症の3例を経験した。症例は98歳2例,84歳1例の女性でいずれも発症後48時間以上経過し,腸閉塞状態となっていたが,CT所見と局所理学的所見により嵌頓腸管の壊死の可能性は低いと考え,用手的整復を行い良好な経過を得た。本疾患は発症24時間以内に診断されれば,ほぼ安全に整復可能であるが,24時間以上経過し腸閉塞状態を呈しても画像所見,理学的所見で炎症が軽度で発症後72時間までの症例ならば整復を試みてよいと思われた。整復に際しては大腿を外旋,外転,屈曲位とすることが重要で,この体位をとることにより1例は直視下に,2例は触診にて脱出腸管の膨隆を確認し長内転筋の外背側から閉鎖孔方向に垂直に圧迫することが可能であった。

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© 2013, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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