日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
坐骨神経痛として治療していた閉鎖孔ヘルニアの1例
阪田 麻裕東 幸宏丸尾 啓敏
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2013 年 33 巻 8 号 p. 1319-1322

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抄録

症例は66歳,女性。2008年頃より左大腿部痛と痺れがあり,近医整形外科で坐骨神経痛と診断されていた。2011年に上腹部痛と腹部膨満感が出現,他院を受診,CTで左閉鎖孔ヘルニア嵌頓による腸閉塞と診断,手術目的で当院紹介受診,緊急手術となった。開腹所見で,回盲弁より約50cm口側の回腸が左閉鎖孔に嵌頓,Richter型であり腸切除は要しなかった。preperitoneal approachでポリプロピレンメッシュを用いヘルニア根治術を行った。術後大腿部痛と痺れは消失,経過良好で12病日退院となった。閉鎖孔ヘルニアの典型的症状の1つに大腿内側に痛みが生じるHowship─Romberg signがあるが,本症例では大腿外側から背側にかけての痛みを術前に認め,術後に軽快したことが特徴的であった。閉鎖孔ヘルニアは整形外科的疾患と診断されがちな大腿部痛を初発症状とする症例もあり注意が必要である。

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© 2013, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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