2014 年 34 巻 1 号 p. 167-171
症例は32歳,男性。以前から腸閉塞を繰り返し,他院で6度の治療歴があった。その際の精査によりMeckel憩室が関連した腸閉塞が疑われていたが,仕事の都合などのため根治的治療はされていなかった。今回,腸閉塞が再発し当院を救急受診した。今回は根治的治療を希望したため,仕事を継続しながら保存的治療をし,後に都合がついたところで入院し,単孔式腹腔鏡手術を施行することで社会生活の維持に配慮した。鏡視観察では,Meckel憩室が連続する肛門側小腸と癒着することで小腸が屈曲し,閉塞していた。創外への挙上は容易で,Meckel憩室および小腸閉塞部を含む小腸部分切除術を単孔式腹腔鏡手術で問題なく施行できた。第5病日に退院し,翌日から出勤した。Meckel憩室の合併症に対する外科治療は比較的珍しいが,小児や若年者に多いため,職場や就学への早期復帰が可能で整容性にも優れている術式選択に利益があると思われた。