日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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ISSN-L : 1340-2242
特集:腹部救急治療としてのヘルニアの診断と治療
腹部救急としてのヘルニアの診断と治療
─鼠径部ヘルニア嵌頓について─
田上 誉史坂東 儀昭三好 康敬尾方 信也豊田 剛
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キーワード: 鼠径ヘルニア, 嵌頓, 腹腔鏡
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2014 年 34 巻 1 号 p. 57-61

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抄録

当院は,TAPP法を成人鼠径ヘルニアに対する第一選択とし,近年は,嵌頓症例においても積極的に腹腔鏡下手術を導入している。今回,自験例から腹部救急としての鼠径部嵌頓ヘルニアの診断と治療について検討した。(対象・方法)1995年から2012年までの期間で,初診診断が鼠径部嵌頓ヘルニアであった61例の臨床背景,病型,選択術式,予後をretrospectiveに検討をした。(結果)61例中16例は嵌頓ヘルニアの徒手整復後に待機的早期手術を施行した。45例は徒手整復不能なために緊急手術を行った。11例に腹腔鏡下手術を選択し,34例は前方アプローチ法による手術を行った。嵌頓ヘルニア症例の内訳は,Ⅰ型32例,Ⅲ型29例。男女比は男性31例,女性30例。平均年齢は70.7歳であった。脱出腸管の虚血,壊死の程度は,腹腔鏡所見が有用であり,鼠径部嵌頓ヘルニアに対する腹腔鏡下手術は,安全に施行可能であった。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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