2014 年 34 巻 1 号 p. 63-67
鼠径部ヘルニア嵌頓症例に対して指療法に影響を与えた因子を検討した。対象は2004年1月から2013年8月に当院で治療を行った鼠径部ヘルニア症例1,641症例(嵌頓症例63例)とした。症例を腸管切除群,腸管非切除群,待機手術群の3群に分けて後方視的に検討した。腸管切除群では他の群に比較し局所の所見が強く出る傾向にあった。血液検査所見では有意差のある所見は認めなかった。画像所見では腹水の有無が腸管切除群と待機群で有意差を認め,腸管拡張の有無も待機群と比較し多く認められる傾向にあった。局所の所見が強くかつ腹水,腸管拡張が認められる症例では腸管絞扼を強く疑うべきである。